教えてとりんさま！ 「クロワッサン症候群」

「とりんさま、SNSで話題になってるクロワッサン症候群ってなんなんでしょう？」

「うーん、クロワッサン症候群という呼称は厳密には正しくないね。正確には「クロワッサン型脳変性症」と呼ぶべきだ。クロワッサン型は日本に多いタイプなんだよ」

「えっと、どういう意味なんでしょう……？」

「まず、前提として脳の構造について話しておく必要があるかな。人間の大脳半球はそれぞれ左脳と右脳に別れている。そして、左右の脳を繋ぐ神経回路をニューロンと言い、神経細胞を繋いでいる部分をシナプスと言う。これは分かるかい？」

「はい大丈夫です」

「じゃあ話を戻すと、クロワッサン型の脳変性症になると、左側のニューロンの一部が異常興奮して右側のニューロンの出力を抑制するんだ。その結果、記憶を司る海馬体を含む側頭葉への入力が抑制されて記憶力が低下する。病状が進行すると脳が萎縮して三日月の形になる事からこの名前が付いたんだ」

「それって大変じゃないですか！？」

「うん。記憶力の低下だけならまだ当人や身内の問題で済むけど高確率で人格の変異が起きる事もあるんだ」

「人格の変異……？　どんな風に変わるんですか？」

「簡単に言うと攻撃的になったり、物忘れが激しくなったりする。さらに酷い場合だと凶暴化する場合もあるから危険極まりないんだ」

「……怖すぎませんか？」

「うん。だからクロワッサン症候群は危険な病気と言われているんだ。しかも、さっき言ったようにこの症例は日本でも多く報告されている。最近の話では都内で起きた女子高生連続逆レイプ事件も、この病によるものだったと判明しているくらいだよ」

「恐ろしいですね……治す方法は無いんですか？」

「残念ながら治療方法は見つかっていない。ただ、予防法はあるんだ。たとえばマヨネーズを食べておくとか、定期的に運動するとかね」

「えっ、なんでマヨネーズなんですか？」

「はっきりした因果関係は分かっていないけどクロワッサン型の発症は低HDL-C血症の患者に多いんだ。低HDL-C血症は体内のコレステロール値が低下するのが原因だからマヨネーズが有効だと言われている。まだまだデータが少ないから確実ではないけどね」

「なるほど、そういうことだったんですね！」

「ただ過剰なマヨネーズの摂取はクロワッサン型とは別に冠状動脈性心臓病のリスクを高める原因となるから注意が必要だね」

「分かりました！」

「じゃあついでだからこれまでに起きたクロワッサン症候群が原因とされる事件、事故をいくつか紹介しよう」

「お願いします！」

「まずは2018年に千葉県で起きて2019年にも再発したテニサー乱交事件。この事件では当時大学生だった男女がテニスラケットでSMプレイをしていたところ、偶然通りかかった女子高生が巻き込まれて男子大学生が肛門裂傷を負う被害が発生したんだ。警察の事情聴取中に女子高生は「自分は何も悪くないと」泣き喚き、「私だって被害者なのに」と逆上して別室に乱入して女子大生を殴り始めるなど収拾がつかなくなった。結局、警察病院でクロワッサン症候群と診断されて緊急入院する事になったんだ」

「怖いですね……」

「他にもクロワッサン症候群の患者が起こしたと思われる事件はたくさんあるよ。2011年には栃木県でクロワッサン症候群の男性が小学校に侵入して女子児童のスカートの中に手を入れようとして用務員に屋上から吊るされたり、2012年には福島県でクロワッサン症候群の女性が男性宅に押し入って首筋に噛み付き血を吸った後に殺害しようとした事件が起きたり、2014年には愛知県のマンションでクロワッサン症候群のエルフの男が小学生にわいせつ行為をして逮捕されたり、2016年には沖縄県でシーサーの置物に跨って腰を振る全裸の女性を撮影した動画を投稿していた女性が見つかったりとかね。他にも多数の事例が報告されているから気をつけないといけないんだ」

「……なんか、どれも凄まじいですね」

「うん。クロワッサン症候群の原因は未だ解明されていないから、いつ自分が当事者になってもおかしくない。患者への偏見を持たず、必要以上に恐れないようにしなければいけない」

「はい！　気を付けます！」