「日本競馬がひた向きに時間と労力と金と愛情をかけて築き上げた威信をグチャグチャに崩壊させるんだ」 ハクタイユー(偽)系で往く白毛馬挑戦録 第9回
- 2022/08/27
- 16:00
これはもう種付け以上の快楽だッ
ウイポ
Winning Post 9 2022
ウイニングポスト9
WP9 2022
1995年
昨年クラシックを盛り上げた3頭がそのまま上位独占。
ぐう聖である松本好雄オーナーが初GⅠ勝利。
イシドラは自身の牧場の馬だった事もあり九郎はしれっと口取り式に参加して祝福した。
大塚騎手の渾身のイン突きが炸裂しクラシックの一冠目を奪取。
九郎「アミール、お前は本当すげえ奴だよ」
関係者との祝勝会を終えて牧場に戻った九郎は馬房でサルジュアミールをそっと撫でた。
九郎「この兄弟仲良いな」等とほのぼのしていた九郎だが、その後行われた天皇賞においてその笑みは凍りつく。
111回の歴史を持つ天皇賞において初の海外馬の勝利。
日本のGⅠを海外馬に持っていかれるという点では去年の安田記念もそうであったが、(言い方は悪いが)安田記念と天皇賞ではレースの格が違う。
八大競走を外国馬に勝たれたという事実は競馬関係者を打ちのめした。
スターグラスギルズが欧州最強馬ならまだ面目は保たれたのだがはっきり言って春天前はタージオン、ヴィンテージクロップ、ダブルトリガー等の一流ステイヤーの後塵を拝しており、春天後もキングジョージ9着、凱旋門賞11着とパッとしない成績だった為、日本の関係者は歯噛みする(一応カドラン賞とメルボルンカップは勝っているのだが)
九郎「くそっこうなったらセンドアギフトで欧州に乗り込んで弔い合戦だ!」
綿兜「センドアギフトは向こうの重い芝は苦手なのでそれはちょっと……」
九郎「??? お前去年センドアは欧州向きって言ってたよな?」
綿兜「言いましたっけ、そんな事? 忘れてください。馬は生き物なので適性が変わる事もあります」
九郎「一年でそんな変わる事ある!?」
綿兜「そう言われても実際に変わっているので。思えば日本で繁栄したハクタイユーの血統が欧州に適応した方がおかしかったのですよ」
九郎「いや、ええ……」
チャールズ曰く、ダービー馬の馬主になるのは一国の宰相になるより難しい。
しかし河島九郎の意地と執念、上井綿兜の白毛愛がその難業を突破する。
癖は強いがなんだかんだで日本競馬の進歩に貢献してきたホースマンが掴んだ栄光に馬主席は拍手で溢れたという。
……ここで終わっていれば美談だったのだが、陣営は一部で河上ローテと揶揄されるダービー/オークス後の海外遠征で米国に向かう。
結果は全戦全敗。掲示板を外すレースもあり、競馬ファンからは「二冠馬の品位を下げるな」との批難も出たが当の二人はどこ吹く風だった。
綿兜「いやぁ、ダホスは強かったですね」
九郎「ねー」
いささかケチがついたが、それでも菊花賞馬の仔が皐月賞とダービーを勝利するというドラマは大きな反響を呼び、ブラッドスポーツの一例として長く語り継がれる事になる。
後のシンザン「あれ? 性別(牝)ってなってますけど誤字でしょうか?」
ちなみに三冠と母仔制覇がかかった菊花賞は距離が長く3着。
芝2000の日本レコードを叩き出すロバストランポート。
スプリンターズSでも3着入線し、来年こそはGⅠを勝つと九郎は拳を握り締める。
正真正銘の強さ、ジェニュイン。
オグリキャップ以来の3歳馬の秋天制覇。しかも三冠馬ナリタブライアンを下しての勝利。
更にブライアンが次走のジャパンカップをレコード勝ち(サンドピットの大逃げの影響であるが)した事でジェニュイン、ひいてはサンデーサイレンスの評価も高まる。
なお九郎は「史上初の3歳秋天勝利馬オグリキャップ」の報道を見るたびに2着に終わったイントラムロスの事を思い出して地団駄を踏んだ。
綿兜「九郎さん、シガーが来日するらしいですよ」
九郎「ほほう、チャンピオンズCでトウケイニセイと日米ダート王者対決か。燃えるな」
綿兜「あ、いえ。マイルCSです」
九郎「ええ……?」
綿兜「どうもあそこの陣営は定期的に芝に足を伸ばしてるんですよね。去年もジョンヘンリーターフSに出走させてましたし3歳の頃は芝しか走ってません」
九郎「つっても勝ってないんだろ。しかも今回は遠征してぶっつけ本番。無謀だろ」
九郎「3着に入るのかよ!?」
綿兜「かなり健闘しましたね。やはりアメリカのダートと日本の芝は……」
九郎「というかここも外国馬に勝たれちまったか……」
2歳戦。
SS旋風に真っ向から抗う白毛軍団。
ミスタープロスペクター、サンデーサイレンス、ストームキャット……米国ダート馬の産駒が日本の芝で勝ちまくりシガーがマイルCSで3着に入った事から競馬界では「米ダートを狙うならむしろ芝馬の方が向いているのでは?」という風潮が生まれる。
まあ、遠征はリスクも大きいのであまり実践される事はなかったのだが。
ただ血統表にミスプロや嵐猫を持つ日本馬が増えた一因にはなったと言われる。
九郎「テンポレギュラー、ハクタイユー産駒だから応援してるんだけど、これは一種の晒し上げだよ。もう地方馬に受賞資格あげろよ」
綿兜「中央ダートGⅠを勝ったトウケイニセイが選ばれずJpnⅠしか勝っていないテンポレギュラーが選ばれるのはいささか歪んだ構図ではありますね」
九郎「最優秀4歳以上牡馬はナリタブライアンか。サクラチトセオーも票数集めてたんだけどな。ってか中央所属の4歳以上牡馬でGⅠ勝ったの他はムッシュシェクルだけかよ」
綿兜「チトセオーはマイルCSの4着が記者にマイナスイメージだったようですね」
九郎「2連続の年度代表馬……ナリブなら3年連続も行けるんじゃないか?」
綿兜「そうなった場合9年で3頭しかいない年度代表馬とは一体……」
外国産種牡馬に上位を独占され一抹の寂しさを覚える九郎であった。
BMSランキングでもハクタイユーの名前が出てきて時間の流れを感じる九郎。
相変わらず人気種牡馬のプロタゴニスト。
初年度産駒から既に期待出来そうな馬もおり「こりゃ98年のクラシックも貰ったな」と九郎は皮算用。
九郎はまだ知らない。95年生まれは後に黄金世代と呼ばれるほど優駿揃いだという事を。
今年の入厩は4頭。
ミスプロ、嵐猫、レイズアネイティヴ、日本では珍しい系統の牡馬を種牡馬入りさせ血統を弄りてぇ……と野望を抱くようになる九郎。
一方でアミールの牝系を繋げたいのになかなか牝馬が生まれずやきもき。
・ロバストランポート
すばるS 4着
大和S 5着
春嵐S 1着
都大路S 1着
七夕賞 2着
小倉記念 1着
スプリンターズS 3着
福島記念 1着
阪神C 2着
・センドアギフト
川崎記念 5着
バージナハール 2着
ドバイターフ 6着
さきたま杯 1着
宝塚記念 8着
イエローリボンH 11着
パーソナルエンスンS 8着
レディスプレリュード 1着
JBCレディスCL 1着
エリザベス女王杯 9着
・サルジュザハブ
共同通信杯 1着
スプリングS 1着
皐月賞 1着
日本ダービー 1着
ベルモントダービー 6着
サラトガダービー 2着
ノーザンダンサーターフS 3着
菊花賞 3着
ジャパンC 4着
有馬記念 2着
・インファンテドン
新馬戦 1着
3歳1勝クラス 1着
端午S 1着
ラジオNIKKEI賞 3着
ジャパンダートダービー 11着
レパードS 4着
エニフS 5着
ブラジルC 1着
リゲルS 1着
・ストームオルカ
新馬戦 1着
ブリーダーズフューチャリティ 4着
BCジェヴェナイルターフ 2着
朝日杯 1着
・プリンキパリア
新馬戦 1着
シャンデリアS 3着
フリゼットS 1着
BCジェヴェナイルフィリーズ 3着
阪神JF 1着
・サンライズジャダナ
新馬戦 1着
アイビーS 1着
デイリー杯2歳S 1着
ホープフルS 1着
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