「あの馬はオグリキャップといってグレイファントムの再来なんだ」 ハクタイユー(偽)系で往く白毛馬挑戦録 第4回
- 2022/08/05
- 16:00
◆知らなかったのか?
ウイポ
Winning Post 9 2022
ウイニングポスト9
WP9 2022
難易度変更。スッペンペン。
1990年
今年のバレンタインも独走のオグリキャップであった。
並み居る強豪を退けてサルジュアミールがドバイシーマクラシックを勝利。
この結果を受けて九郎と綿兜はノリノリで欧州遠征のプランを練り始める。目標は凱旋門賞。
腰を据えて現地に滞在し、同一の距離で開催されるフォヨ賞をプレップレースに使って万全を期す。
その結果は――
九郎は地団駄を踏んで悔しがったが、スピードシンボリやメジロムサシ、シリウスシンボリ……これまで挑んだ名馬達が二桁順位だった事を考えれば大健闘である。
海外に挑んだのはサルジュアミールだけではない。その全弟のスパーブリネージュもである。
全姉がクラシック三冠牝馬で自身も朝日杯を勝ったので種牡馬入りは確定と言ってもいい。それだけに陣営は冒険に出る。
フランスの三冠への挑戦である。結果次第では凱旋門賞に姉弟でチャレンジという青写真を描いていたが、一番良い着順でもジョッケクルブ賞の7着であった。
なおこの遠征には適性が欧州向きだと判断されたミッドナイトサンも同行していた。
GⅢのジョンポーターS で重賞3賞目をあげ陣営の相馬眼が正しかった事を証明するがGⅠでは惨敗。ブラックタイプの厳しさを痛感させた。
時を戻した3歳牝馬クラシック。
初戦桜花賞をカリーマが快勝。
ただ次走のオークスは距離が長く2着。
更に夏の間は陣営の定番となりつつある欧州遠征に挑むが未勝利に終わる。
種付けシーズン。
これまでの実績によりようやく他牧場でもボチボチハクタイユーが付けられるようになる。
だが何もかもが順調だったという訳ではない。
九郎(通夜のような沈痛な面持ち)
綿兜「申し訳ありません……まさかここまで一気に衰えが来るとは……」
九郎「いや、俺もイントラムロスなら大丈夫だろうと根拠もないのに過信しすぎていた……」
その後も陣営は復活を信じて去年2着に惜敗したチャンピオンSに挑むがここでも惨敗。予定を切り上げ引退が決定する。
3歳、4歳時に国内外を問わずに暴れた名馬にしてはあまりに寂しい終わりであった。
秋、カリーマが秋華賞を勝利して二冠牝馬に。
次走のエリ女では10着に惨敗するが、勝ったのは萩野鈴蘭に買われたベルズアカデミー。
ハクタイユー産駒がレコード勝ちしたので悪い結果ではない。
そしてベルズアカデミーの全弟のプロタゴニストがデビュー。圧倒的なポテンシャルを披露する。
距離的に微妙な菊花賞以外の二冠は貰ったな! ガハハハハハ!
と九郎は調子に乗ったのだが、この世代には偉大なる皇帝の血を引く帝王がいる事を彼はまだ知らない。
いい加減この女をわからせたい。
そう願う九郎は凱旋門賞帰りのサルジュアミールを世界最強馬決定戦が行われるジャパンカップに送り込んだのだが、長旅の疲れが響いたのか10着に終わり、逆にオグリキャップにわからされてしまう。
実績のない若手騎手に初GⅠを獲らせる事に定評のある陣営。
4着のスネグーラチカもここまで重賞を2連勝しているので江田騎手の初GⅠもそう遠くないかもしれない。
九郎「これまでオグリに一度でも勝った事があるのはニッポーテイオーとヤエノムテキとイントラムロスだけだったが、ここにスーパークリークが加わった訳か」
綿兜「ただニッポーテイオーは3歳の宝塚記念、ヤエノムテキは怪我明けのオールカマーとどちらも負けても仕方ないレースです。その点イントラムロスの秋天と今回の有馬記念は実力でねじ伏せたので価値のある勝利ですよ」
九郎「……しかし、なんで武騎手がオグリに乗ってんだ? クリークが怪我でもしたならともかく」
綿兜「……さあ? よその事情はちょっと……」
九郎「メジロデュポンが香港やオーストラリアで走る姿を見たかったな。十分通用したろ」
綿兜「メジロ牧場は海外遠征には消極的ですからね。デュポンが世界クラスというのは同感ですが」
メジロデュポンは去年5月の京王杯SCから重賞13連勝。
76年にスプリント路線が整備された恩恵を最大限に受けた一頭と言える(それでもスプリントしか走れない馬には出られるレースが少ないが)
九郎「メジロといえば去年お前が言ってたメジロマックイーンがダービー2着で菊花賞1着。これは父系三代天皇賞制覇も可能性大じゃないか?」
綿兜「……そうですね。これまで主戦だった内田浩一騎手から武騎手に乗り替わりさせるって話も漏れ聞こえてきますし」
九郎「実績の少ない若手騎手の悲哀を感じるな。有馬記念も村本善之騎手に代わってたしな」
九郎「今年はGⅠを2勝以上した中央の古馬牝馬がいないからサルジュが選ばれる可能性もあるんじゃないかと期待してたんだがな」
綿兜「国内では勝ってませんからね。これは私の力不足ですが」
九郎「そりゃまあ、国内で勝ってない馬が選ばれたら荒れるよな」
皇帝シンボリルドルフと並ぶGⅠ9勝。更に前人未到の同一GⅠ3連覇を達成したオグリキャップ。
彼を筆頭に
無敗で二冠を達成し安田記念をレコード勝ちしたサクラチヨノオー。
海外に名を轟かせたイントラムロス。
長距離で無類の強さを誇るスーパークリーク。
スプリント最強王者メジロデュポン。
他にもヤエノムテキやパッシングショット、ウィンドベイブ等の綺羅星の如き名馬が揃い88年世代は最強世代と呼ばれる事になる。
なお88年から90年の秋天を勝ったのは全てこの世代である(オグリキャップ、イントラムロス、ヤエノムテキ)
また9勝繋がりでルドルフとオグリは後に擬人化され一緒にアイススケートをするのだがそれはまた別のお話。素敵だな。
九郎「サンデーサイレンスとイージーゴアのライバル対決、4歳時はSSに軍配が上がったか。吉田さんが40億近く出して購入したらしいけどどうなるかな」
綿兜「米国のダートは日本のダートよりむしろ芝に近いという話もあるので案外成功するかもしれませんね」
九郎「マルゼンスキーやヤマニンスキーは持込馬だが、それ抜きにしても内国産馬が活躍してるのは見てて嬉しくなるな」
綿兜「系統がバラけているのも良いですね。セントサイモンは避けなくては」
今年は以下の4頭が引退。
牡馬は3頭とも種牡馬入りが叶う。
綿兜「ミッドナイトサンとイントラムロスは欧州に?」
九郎「ああ。血統的にもあっちが向いてそうだしな」
今年はサルジュアミールの全弟とスネグーラチカの全妹が入厩。
競走成績
・イントラムロス
ジェベルハッタ 14着
ドバイターフ 6着
安田記念 10着
宝塚記念 9着
チャレンジS 16着
チャンピオンS 13着
・ミッドナイトサン
中山金杯 1着
佐賀記念 2着
ジョンポーターS 1着
ガネー賞 16着
七夕賞 2着
小倉記念 13着
新潟記念 15着
毎日王冠 18着
中日新聞杯 12着
・エフィンジャー
川崎記念 2着
名古屋大賞典 3着
アンタレスS 2着
平安S 12着
マーキュリーC 2着
白山大賞典 2着
JBCクラシック 6着
名古屋グランプリ 1着
・サルジュアミール
マクトゥームチャレンジR3 5着
ドバイシーマクラシック 1着
チャンピオンズ&チャターC 4着
ランカシャーオークス 2着
KGVI & QES 9着
フォワ賞 4着
凱旋門賞 3着
ジャパンC 10着
有馬記念 3着
・ベブラーウィー
4歳以上2勝クラス 2着
千葉日報杯 3着
秩父特別 1着
天の川S 1着
ポートアイランドS 6着
カシオペアS 7着
師走S 2着
・スパーブリネージュ
きさらぎ賞 10着
スプリングS 1着
フォンテーヌブロー賞 12着
フランス2000ギニー 8着
フランスダービー 7着
ドイツダービー 14着
セントライト記念 4着
富士S 5着
チャレンジC 3着
・ディクタートル
報知杯弥生賞ディープインパクト記念(皐月賞トライアル) 5着
アーリントンC 2着
ユニコーンS 1着
ジャパンダートダービー 4着
関屋記念 17着
東京盃 2着
武蔵野S 3着
・カリーマ
クイーンC 3着
桜花賞 1着
オークス 2着
ポールドムーサック賞 5着
コロネーションS 2着
ドイツオークス 6着
プランスドランジェ賞 9着
メイトロンS 10着
秋華賞 1着
エリザベス女王杯 10着
・スネグーラチカ
新馬戦 2着
未勝利戦 1着
ヤマボウシ賞 1着
エーデルワイス賞 1着
兵庫ジュニアグランプリ 1着
全日本2歳優駿 4着
・グルス
新馬戦 1着
2歳1勝クラス 2着
オキザリス賞 1着
全日本2歳優駿 1着
・プロタゴニスト
新馬戦 1着
ベゴニア賞 1着
朝日杯 1着
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