「俺も混ぜてよw」 ハクタイユー(偽)系で往く白毛馬挑戦録 第2回
- 2022/07/27
- 16:00
ウイポ
Winning Post 9 2022
ウイニングポスト9
WP9 2022
1988年
年明けから早速ハクタイユー産駒の重賞ウイナーが誕生。
九郎「京成杯で2分フラットとはなかなか」
綿兜「あしげ……」
2月14日、毎年恒例のバレンタイン企画。
九郎「マッツィーニ、お前モテモテだなぁ」
綿兜「来てますね、芦毛と白毛の流れ」
そんなマッツィーニはフェブラリーSを快勝した後にアリシバが待つドバイワールドCに向かう。が……
九郎「ぐあああああああああああああ!」
綿兜「やはりステップレースを使わずにぶっつけ本番はマッツィーニといえど厳しいですか」
肩を落として帰国した九郎だが、その直後に朗報が舞い込む。
条件馬の血を繋げるという伊達と酔狂と浪漫で生きている九郎は験を担ぐタイプであり、この幼駒は手元で大事に育てようと決意する。
同時期、日本競馬界では高松宮記念を古馬になったばかりの牝馬が制覇。
綿兜「やりますね、同志」
そんなこんなで迎えたイントラムロスの皐月賞。
ハクタイユー産駒による初のクラシックという事で九郎も綿兜も意気込んでいたのだが――
――その走り、千代に刻む。
九郎「父親に比べれば健闘したが、これだけ離されてるとな……」
綿兜「坂道で失速したのが痛かったですね。まだ馬体が完成していないのも大きいですが」
綿兜「それと残念なお知らせです」
九郎「なに?」
綿兜「ダービーは距離が持ちません」
九郎「oh……じゃあNHKマイルの方か」
皐月賞2着馬がダービー回避という事で一部からグチグチ言われつつ向かったNHKマイルC。
もう50mあったら差し切られていたという接戦だったがこれでGⅠ2勝目。
5月の種付けシーズン。
※なお他牧場の種付け数は4頭だった模様。
そして下半期。
イントラムロスと九郎と綿兜は欧州にいた。血統的に適性がありそうなので試してみたいという綿兜の進言があったからだ。
九郎「あー、残念!」
綿兜「ソヴィエトスターに負けたのは残念ですがミエスクには先着……これは期待出来ますね。あとナッソーSを勝ったホーリックスという馬、何か気になります」
九郎「芦毛だからだろ?」
綿兜「それはそうです」
その後はムーランドロンシャン賞でもソヴィエトスターの2着になり悔しさはあるも確かな手応えを感じる。
一方のマッツィーニは米国に遠征。
前哨戦に選んだホイットニーSこそガルチの2着だったが、本番のパシフィッククラシックでは遂にアリシバ撃破。
九郎「っしゃあぁ!」
綿兜「ダートでこのタイムですか。これはBCクラシックでもあるいは……」
その後、オーサムアゲインSも制した事で綿兜だけでなく日本の関係者も希望を抱くが、BCクラシックの結果は惜しくも3着。
そして九郎は飛行機のマイルを貯めつつ日本にとんぼ返り。
世間がタマモクロスとオグリキャップの芦毛対決と盛り上がる天皇賞(秋)
そこに欧州から帰ってきたイントラムロスも参戦していた。その結果は――
九郎「3歳馬が秋天をレコード勝ちかよ……怪物め」
綿兜「芦毛の間に挟まる白毛……😇」
偉業は譲ってしまうもイントラムロスはその後マイルCSを勝利。自身と世代のレベルの高さを世間に見せつける。
そしてエリザベス女王杯。ハクタイユー産駒では3頭目のGⅠ馬が誕生していた。
九郎「雪野さんは今年調子が良いな」
綿兜「同志は九郎さんに頭が上がらないと言ってましたよ」
この年のWHC(世界最強馬決定戦)はチャンピオンズCが選ばれた。
九郎「この裏切り者がぁ! 綿兜、お前もあれが気になるとか言わないだろうな!?」
綿兜「芦毛が気にならない訳ではないですが、斤量の関係から3歳牝馬のウイニングカラーズは警戒していますよ」
九郎「む……それは確かに」
そして――
九郎「ちっ、やはりアリシバは強いか……」
綿兜「それでも日本競馬の誇りは守られましたよ。もし彼がいなかった場合のレース後の雰囲気は考えたくありませんね」
残念な話ばかりではなくサルジュが阪神JFを勝利。来年の活躍も期待される。
綿兜「ウィンドベイブの応援に来ましたが、いやはやこれは……」
九郎「またレコード勝ちかよ、この怪物。3歳秋古馬三冠とは一体……」
そして1年のレースがすべて終了。
九郎「今年も上半期はニッポーテイオーの天下だったな。連覇しまくりだ」
綿兜「アサクサエリートもスプリンターズS連覇してますね」
九郎「仕方ないとは思うがサクラチヨノオーはダメだったか」
綿兜「イントラムロスも残念ですね。最優秀4歳以上牝馬はウィンドスウォーム以外に該当馬がいないので最優秀短距離馬はイントラムロスに投票が流れるのではと期待していたのですが」
九郎「ま、そんな他力本願で受賞しても価値はないよ」
九郎「ハクタイユーがリーディングサイアーになったのは素直に嬉しい!」
綿兜「ただ、やはり勝ち上がり率がネックですね」
九郎「こう言っちゃなんだが、俺が中小の生産者だったら避けるな。活躍馬は肌馬が優秀なものばかりだし、それだったらノーザンテーストやマルゼンスキーの方が良い」
九郎「日本で無敗の二冠馬が3歳王者になれなかったのもあれだが、米国のエクリプス賞もちょっとあれな事になってるな。トリプルティアラを獲っても最優秀3歳牝馬に選出されず、か」
綿兜「三冠馬を選ばない訳にはいかないという事情は理解しますが、直接対決のCCAオークスとアラバマSではグッバイヘイローが先着しているだけに陣営は歯痒いでしょうね」
九郎「そしてウイニングカラーズがそのまま年度代表馬か。チャンピオンズCではアリシバに負けてたんだがな」
綿兜「アリシバは日本だけでなくサウジアラビアやドバイでも勝った名馬です。はっきり言って格はこちらが上ですが、まあ、大人の事情でしょうね」
そしてこの年はハクタイユー初年度産駒にして初のGⅠ馬マッツィーニが引退。
九郎「まだまだやれそうだが、アリシバもガルチも引退しちまったしな。後はもうこの血を残す仕事に専念してもらおう」
綿兜「アメリカで種牡馬入りするとか?」
九郎「BCクラシックの後でそういう話になってな。日本じゃハクタイユーと需要を奪い合いそうだし、それならいっそダートの本場アメリカで繋養した方が良いかなって」
綿兜「白毛の血が海外に広まっていくと思うと胸が熱くなりますね」
今年入厩するのはこの三頭。
九郎「トレボロジューンはクラシック馬を二頭も産んだ名繁殖牝馬だが、それはそれとしてハクタイユーのラストランになった82年皐月賞を勝ったスキャンダルダイナの母でもあるんだよな……」
綿兜「同期の母親に種付け、人気種牡馬にはあるあるですね。いずれ母娘に種付けする日も来るかもしれません」
競走成績
・マッツィーニ
フェブラリーS 1着
ドバイワールドC 9着
かしわ記念 1着
帝王賞 1着
ホイットニーS 2着
パシフィッククラシック 1着
オーサムアゲインS 1着
BCクラシック 3着
チャンピオンズC 2着
東京大賞典 1着
・イントラムロス
共同通信杯 1着
スプリングS 1着
皐月賞 2着
NHKマイルC 1着
ユジューヌアダム賞 5着
サセックスS 2着
ムーランドロンシャン賞 2着
天皇賞(秋) 2着
マイルCS 1着
香港カップ 5着
・ミッドナイトサン
若竹賞 1着
若葉S 5着
プリンシパルS 1着
ユニコーンS 3着
ジャパンダートダービー 11着
BSN賞 8着
オクトーバーS 1着
チャレンジC 2着
・エフィンジャー
新馬戦 1着
3歳1勝クラス 1着
伏竜S 2着
青竜S 1着
スレイプニルS 1着
レパードS 1着
シリウスS 2着
JBCクラシック 12着
名古屋グランプリ 4着
・サルジュアミール
新馬戦 1着
サフラン賞 1着
デイリー杯2歳 1着
阪神JF 1着
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